ゲゲゲの蔵之介さんと、見えないものたち
10月某日、舞台「ゲゲゲの先生へ」をみにいった。
佐々木蔵之介さんが大好きで、彼の舞台に行くことは積年の夢だった。それが叶った。
『ゲゲゲの先生へ』は、水木しげる作品へのオマージュとして前川知大さんが脚本・演出したもの。
水木先生の作品も幼い頃から触れることが多かったし、何より水木先生の考え方が好きだから、
蔵之介さんが水木さんの世界にいるのを想像するだけで楽しかったし、
憧れの人と同じ空間に行くという緊張で
冷や汗がやばかった。
普段は二次元のオタクをしているので、
イケメンアイドルのおにーさんよりも刀の神様やニートのむつごが好きなんだけど、
佐々木蔵之介さんだけは例外で、
学生時代にTVドラマ『鹿男あをによし』で一目惚れし、
バラエティ番組で「1日休みができたら新幹線の駅に行って、その場で行き先を決めて突撃旅行をする」と言っていて、それで大好きになってしまった。
秋めく池袋の芸術劇場へ。
舞台が始まった。始まって、蔵之介さんが立って(這って)いて、涙があふれてとまらなくて、最初のほうは舞台の内容を覚えてない。
ただ、蔵之介さんの喜びは最初だけだった。
少し気持ちを落ち着けて舞台に集中できるようになると、
憧れの人を目で追うよりも、舞台の世界観に圧倒されていた。
ここから少しネタバレ(?)
一番印象にのこった台詞は、
『魂と妖怪は、似ている。』
魂や妖怪は、
人間が、彼らが「いる」のを感じることで、はじめて存在しはじめる。
現代日本のわたしたちにとって、『みえないもの』は、何よりも大事なものになりつつある。
水木先生は、太平洋戦争で南方に送られ、片腕を失い、現地に住んでいた民族との交流の中で、自分の生き方を見つめられたという。
『現地の音やにおい、雰囲気に触れると、地元の人が感じている妖怪を自分も感じられる気がします』と先生は話していた。
『みえないもの』、たとえば、妖怪や魂や、心や人の想い、そして神様や、命や、宇宙の先。そんなみえないものを感じることのできる人間が少なからずいるけれど、
そんな方々は、日々の中で必ず自然とつながっているのだと思えた。
水木先生も同じことをずっと言っていた。
自然に抗(あらが)わないこと。
見えないけれど、確かにあるものを感じること。
『楽しい』『好き』を大切に生きること。
それが、不思議な世界観で見事に描かれた作品でした。
舞台の席にいられて幸せでした、ありがとうございました。
また次も、蔵之介さんの舞台見に行きます!!